
ビタミン ミネラル不足が病気のもとに
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旬の食物にこそ大切な栄養素がいっぱい
ヒトのからだにとって大切な栄養素はそのほとんどが食物摂取によって取り込むことができます。しかしそれは近年、その食事において大きな偏りが問題となっています。
現代人の人々の生活がどんどんと便利になっていっていくなかで、人が旬を楽しむということが限りなくなくなってきました。
また食事自体が手作りの料理ばかりではなく、スーパーなどでは出来合いの惣菜であったり、レトルト、冷凍食品が多く出回るようになり、ついつい忙しい時間に追われて料理の時間を節約して既製品に頼りがちになってしまっていませんか。その結果、スーパーの商品棚の目の前に並んだそんな食材が食卓にそのまま並ぶことが多くなってきてはいませんか?

旬を食べることの意味
昔は、畑から採りたての野菜をそのまま料理して、それに保存食として納豆、ぬかみそ漬けの漬物、切り干し大根などの手作り料理が食卓を賑わしてきました。そのころは各家庭では季節に応じて、その時々の旬の食べ物が食卓に並んだものでした。
旬の野菜には季節に合わせて成長していくために、冬の寒さでじっと我慢していた山菜の新芽が早春になると一斉に出始め、新芽が春の訪れを知らしてくれていました。夏になると太陽エネルギーをいっぱい浴びてキュウリやトマトなどの実もの野菜、秋には芋やダイコンなどの根菜類、冬は各種の保存食が食卓に並び、一年を通して食物にバリエーションが豊富でした。
まず早春の山菜のほとんどが出たばかりの新芽を摘んで料理します。その時の新芽それこそが植物の「生長点」です。「生長点」は植物の中でも最も栄養価が高い部分だと言われています。生長点には野菜の栄養素がギュッと濃縮されているのです。最近スーパーでもよく見かける「スプラウト野菜」がまさしくその生長点であり、ビタミン、ミネラル、ファイトケミカルなどの栄養素の宝庫だと言えます。
- ビタミンの効果
そこの含まれた複数のビタミン群(ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC,Dなど)は体内の細胞を活性化させる働きがあり、免疫力の向上、アンチエイジング効果、脂肪燃焼などの効果があるといわれています。
- ミネラルの効果
豊富に含まれている各種ミネラル成分にも新陳代謝を促進させる機能があり、美肌効果も確認されています。
- ファイトケミカルの効果
またファイトケミカルと呼ばれる植物の色素、芳香性、灰汁などの物質も抗酸化作用、免疫力の向上効果も期待されています。特に抗酸化作用はお肌の老化の原因の酸化を抑える効果があると言われています。
現代の食生活の落とし穴
しかし今やスーパーでは温室栽培のトマトやキュウリは一年中出回るようになり、季節を問わず食卓に並ぶようになりました。また冷凍加工技術の普及はそれに拍車をかけるように様々な食材が冷凍加工されて、ほぼ季節関係なしにスーパーの冷凍庫に所狭しと並ぶようになりました。その結果、現代人の人は旬というものからどんどんとかけ離れた生活をしていくようになっていきました。
下記の図に示すように様々な食物にはそれなりの栄養素が含まれています。

しかし、それはほとんどが季節に関係なく販売されているものばかりであり、旬は感じることはありません。それは季節感が薄れたという感覚的なものだけではなく、その野菜に含まれる栄養分が昔の野菜と比べると格段に低くなっているということです。それが特にいえるのがミネラル分とビタミンです。



ビタミン欠乏症は、ビタミンの消費が多いのに、食事からの摂取量が不足のときに起こります。また摂取したビタミンの体内への吸収や利用がわるいとき、たとえば消化管の手術などで吸収障害があるときにも起こります。
- ビタミンA欠乏症 乳幼児の発育の遅れ、皮膚がかさかさにあれる、暗くなるとものが見えなくなる夜盲(やもう)症(とり目)などです。皮膚や粘膜などの成長に欠かすことのできない栄養素であり、欠乏すると夜盲症は進行すると結膜や角膜の表面が乾燥して白く濁り、ついには失明することがあります。
- ビタミンB1欠乏症 肝臓、心臓、筋肉など糖質の代謝や神経系のはたらきを補助する作用をもつビタミンです。脚気、手足のしびれ、むくみ、知覚神経の低下があります。
- ビタミンB12欠乏症 拡散代謝機能をつかさどっていて欠乏すると貧血症を起こしたりします。末梢神経炎や脊髄(せきずい)の障害を起こして歩行困難になる場合もあります。
- ビタミンC欠乏症 ビタミンCは血管壁を強くしたり、血液の凝固を助けたりする作用があり、欠乏すると皮膚に出血が起こったり、鼻血や歯ぐきの出血を起こしたりします。
- ビタミンD欠乏症 ビタミンDが欠乏すると骨の発育やカルシウムの沈着が障害されて、発育期の乳幼児はくる病を起こします。成人では骨軟化症を起こし、特に高齢者、閉経後の女性の場合カルシウムがしだいに消失して骨粗鬆症を起こしやすくなります。そこで植物性ケイ素が体内においてカルシウム吸収を促進させ、骨芽細胞を活性化させることもわかってきました。
- ビタミンK欠乏症 ビタミンKは血液の凝結作用があり、出血時に止血する働きがあります。欠乏症では出血傾向が起こり、肝臓病や腸の手術後の吸収不全のときなどに起こりやすい傾向があります。
ビタミンとは直接からだに影響を与えていないようでいて、目に見えないところで大切な役割を果たしています。一旦欠乏すると体調不良の原因になります。
食事から栄養素を摂る
ビタミンがからだに与える効果は様々であり、その中でも特記すべきものとして次のものがあります。
- 糖質の代謝を促進する効果
- 酸化還元反応を促進する効果
- タンパク質の分解
- カルシウムの吸収を補足する効果
- 抗酸化作用
- 皮膚の再生、お肌の老化防止
などビタミン、ミナラルは様々なヒトのからだの機能を支える大きな役割を果たしてくれています。またそれぞれビタミンにも種類があり、それは各種ビタミンの種類によってその効用は異なります。そのために偏った食事をし続けていると体内の栄養バランスが崩れてしまい、病気の原因を知らず知らずに作り上げてしまいます。またビタミン不足のほかにも特定のビタミンの過剰摂取による副作用も報告されています。ビタミンとは本来、ヒトのからだでは生成することのできない物質であり、その摂取はあくまでも食物として外部から取り込まなければなりません。だからこそバランスのいい食事により、効率よくその機能を果たすと考えられており、バランスのいい食生活でビタミン不足、ミネラル不足を防ぐことができます。
糖質を控えることの重要性
スイーツ好きのあなた。気を付けたほうがいいです。糖質、特にエンプティーカロリーの食物には要注意です。ケーキやスイーツに大量に配合されている白糖に大きな危険が潜んでいるのです。エンプティーカロリーの食品とは、カロリーは高いが体に良い栄養がほとんど含まれていないということであり、その時の糖質などの栄養素を分解するために必要なミネラル分を本来であれば、その食物の中に含まれているミネラル分によって分解されるものが、生成されつくした白糖などの場合、それが削り落とされてしまい、体内にあるミネラル成分を消費して分解が行われ代謝エネルギーに変換されるためにどんどんと体からミネラルが消費、流出されていくのです。それと同じ食品に白米、小麦粉なども精白されつくした挙句、その糖質を分解するために体内の貴重なミネラル成分がどんどんと減少していくことになってしまいます。
その結果として、ただでも食品全般にミネラル含有が低下してきたといわれている中で、スイーツなどの食品は、体内のミネラル不足を助長しているということをしっかりと理解しておかねばなりません。
ミネラル不足は潤滑油が切れたエンジンのようなもの
現代人において、自動車は必需品であります。逆に考えれば自動車のない生活など考えられません。直接自分で所有していなくとも公共交通機関や陸運用のトラックなど生活には欠かせない存在です。その原動力となっているがいうまでもなくエンジンです。エンジンは確かに燃料がなくては動きません。ヒトのからだも同じで代謝エネルギーを食物によって体外から摂取しています。ついつい人はお腹いっぱいになれば元気が出ると考えがちですが、自動車エンジンは決して燃料だけで動いているわけではありません。そこにはあまり意識されていませんが、きれいなエンジンオイルの存在を忘れるわけにはいきません。私たちのからだにとってその大切な機能を陰で支えてくれているエンジンオイルの働きが、ビタミンでありミネラルなのです。

現代人は多忙に任せて、ついつい便利な食材に頼りがち。そして季節感を感じさせない年中販売されている野菜にある種、私たち現代人は慣れ切ってしまっています。しかし今こそ旬の食材に目を向けて、その旬の大切さを知り、そこの豊富に含まれているビタミン、ミネラルをしっかりと摂ることを意識した生活に戻らねばならない時なのかもしれません。
エンジンオイルの切れたエンジンは焼け付けば、二度と動くことはないことを今一度意識しておくべきです。